子どもたちが何気なく口にする「おとこもん」「おんなもん」という言葉。その裏側にある「ふつう」の感覚について,考えてみました。
★以下 平成24年5月19日学級だより「にこにこにくみ」より★
学校ホームページにも掲載しましたが,「1年生を迎える会」でかぶってもらうための帽子を作って1年生にプレゼントしました。32個の帽子をダンボールに入れ,箱の外側に絵を描いたりしながらきれいに飾り付けているときのこと。(中間休みに教室にいた何人かの女の子が飾り付けをしてくれました。)
「男の好きなものが全然ないやん。女のばっかりやん」
そんな風に訴えているのは,できあがりつつあるプレゼントを一目見た男の子たちでした。
「男子の好きな絵とか描けへんもん。仕方ないやん」
「そんなん言うんやったら,自分たちで描けばいいやん」
休み時間に飾りつけをしていた女の子たちも,負けじと言い返します。
はじめに訴えた男の子にしてみれば,自分の好みではない絵で埋められたプレゼントに違和感を覚えたのでしょう。それをもらう側の1年生の男の子も,同じように感じるのでは…と思ったのかも知れません。
そんな風に訴えているのは,できあがりつつあるプレゼントを一目見た男の子たちでした。
「男子の好きな絵とか描けへんもん。仕方ないやん」
「そんなん言うんやったら,自分たちで描けばいいやん」
休み時間に飾りつけをしていた女の子たちも,負けじと言い返します。
はじめに訴えた男の子にしてみれば,自分の好みではない絵で埋められたプレゼントに違和感を覚えたのでしょう。それをもらう側の1年生の男の子も,同じように感じるのでは…と思ったのかも知れません。
一方で,一生懸命描いた飾りつけの絵を見るなり「女の絵ばっかりや」と非難されてしまった子どもの気持ちもよくわかります。どちらも言葉が足りないのはもちろんですが,私がなるほどと思ったのは「男の好きなもの」「女の好きなもの」という言葉が子どもたちの中で共有されていることです。箱に描かれていたのは,鳥を模したキャラクターや,ハート,星などのマーク,おめでとうの文字などですが,これらを「女の好きなもの」と呼ぶことには誰も異を唱えないんですね。そこで,「男の好きなもの」「女の好きなもの」と題してクラスの子どもたちに尋ねてみました。
男の好きなもの:ワンピース,ライオン,ドラゴンボール,ドクロマーク,ボール,コーラ…
女の好きなもの:ハート,星,ゆるキャラ,ウサギ,ハムスター,フリル…
たくさん書いていくうちに,「ん?」と思う子どもたちもいたようです。気になったことを尋ねました。
「ワンピースが好きな女の子って,ヘン?」
「ハートや星のマークが好きな男の子は?」
すると「ヘンじゃないけど…少ない」との答え。ウンウンと頷く人もいました。
じゃライオンは?――男女関係ないやん。なるほど,コーラもだ。
ワンピースやドラゴンボールが好きな男の子や,ハートマークやゆるキャラの好きな女の子は確かに多いでしょう。
じゃあワンピースが好きな女の子やゆるキャラが好きな男の子は「おかしい」かというとそうではありません。それぞれに好みが違うなかで,たまたま同じ趣味の人が同性に少ないだけです。
ところが「ワンピースは男の子が好むもの」というのが当たり前のような雰囲気の中では,女の子が「ワンピースが好きなんだけど!」とは言いにくいでしょうね。私自身,小学生の頃に習い事を聞かれて「ピアノを習っている」とは言い出しにくかったのを覚えています。
たくさんの人が「○○って普通だよね」「○○するのが当たり前だよね」と思っているすぐ近くで,「いや,私は違うんだけどな…」と肩身の狭い思いをしている人がいるかも知れない。「あいつはヘンだ」と思われるのが嫌で本心ではないものを仕方なく選んでいる人がいるかも知れない。そんなことを感じられる人であってほしいと思います。
みんなの考えている「普通」って,本当にそうだろうか。ときどき立ち止まって考えてほしい。
こんなメッセージを伝えた3時間目でした。ご意見・ご感想お待ちしています。
★補足★
何を細かいことを…と考える人もいらっしゃるでしょう。こういうことを切り出すと,「え,そんなこと聞くん?」と驚いた顔をする子どももいます。
この話題ひとつだけを取り上げれば,取るに足りないことかも知れません。
それでも,「こんなこと」の積み重ねが「それって本当に”普通”かな」と立ち止まって考えられる子どもを育てることにつながるはず…と信じてがんばっていますよ,というお話でした。
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