2012年5月22日火曜日

「先生○○していいですか」

5年生の担任になってまず驚いたのは,そんな質問があまりにも多いことでした。


★以下 平成24年4月20日学級だより「にこにこにくみ」より★


子どもたちから,毎日聞かれます。

「先生,トイレ行っていいですか」

「先生,手を洗ってきていいですか」

「先生,もう始めていいですか」

「先生,パンを残していいですか」

私はできるだけ「どう思う?」と答えるようにしています。
質問した子どもは一瞬「へ?」という顔になって,しばらく考えたのちに

「今は…だめだと思います」

とか

「いいと思います」

というように答えます。そしてほとんどの場合,その判断は間違っていません。
もともと「先生,○○していいですか」という質問自体,いいか悪いかを尋ねているのではなく「本当はダメかなーと思うんだけど,トイレ行きたい…」という主張(あるいは懇願)を含んだものなんですね。
授業中にトイレに行ってもいいかと言えば答えはノーです。でも,どうしても我慢できない。授業を抜けることになってしまうけど,ちょっとトイレに行きたいです――。そんなささやかな望みに「先生のお墨付き」をもらうための手続きが「先生,トイレ行っていいですか」なんだと思います。

「○○していいですか?」「いいですよ」というお墨付きがもらえずに,「どう思う?」と聞かれた子どもは突然自分で判断することを求められます。

「先生,トイレ行っていいですか」

「どう思う?」

「…今はダメだと思う」

「授業中だからね,トイレに行っていい時間じゃないですね」

というように。
その判断は間違っていません。大正解です。しかしトイレは生理現象ですから,我慢ができないこともあるでしょう。そういうときは「(我慢できないので)トイレに行ってきます」と言うんだよ,と指導します。


ここまで読んでいただいて,「何をまどろっこしい…」「アカンもんはアカンと言わないと」と思った方もおられるのではないでしょうか。しかし私は,2つの意味でこの“面倒なやりとり”が大切だと思っています。
1つめは,ものごとを自分で判断できるようになるということです。「今はトイレに行ったらダメだと思う」「今は手を洗ってきてもいいと思う」という判断を自分で下し,それが教師に「うん,先生もそう思うよ」と認められることで,子どもは自らの判断力を磨き,自信を深めていくのではないでしょうか。
2つめは,自分の責任で行動するということです。自分の判断をもとに行動した以上「先生がいいって言ったから」「友だちがやれって言ったから」という言い訳ができなくなります。誰かの価値基準にただ従うのではなく,自分の判断で行動するからこそ,もしそれが失敗に終わったとしても他人のせいにはできないし,その失敗を見つめることが自分の成長につながると思うのです。


「○○していい?」「どう思う?」 ちょっと回りくどいですがご家庭でも取り組んでみませんか。


「5年2組学級だより(仮)」改め,「にこにこにくみ」のスタートから長々と書いてしまいました。おたよりに関することはもちろん,それ以外でもご意見・ご感想・ご質問をお待ちしています。どしどしお寄せください。


★補足★


これを書いてから1か月が経ちました。「先生○○していいですか」はずいぶん少なくなりましたが,それでもときどき

「先生,トイレ行っていいですか」

「自分ではどう思う?」

「え? あ…ちょっと我慢できないので行ってきます」

というやりとりがあります。子どもたちが自分の判断に自信と責任をもつようになるにはまだまだ時間がかかりそうですが,焦らず根気強く続けていきたいと思います。



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