2012年1月23日月曜日

新年恒例の「今年の目標」に一言。

「年の初めのためしとて…」

2012年の学級だよりは,そんなタイトルで始まりました。
一年の幕開けというのは不思議と力が湧いてくるものです。「よし,今年はこれをやろう」と一念発起した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな心機一転ムードに乗じて,小学校でも「今年の目標」なんかを書かせます。今回はそんな「今年の目標を書かせる」ということについて書いてみました。


★以下 平成24年1月13日学級だより「すきやき」より★


タイトルを見て,あのメロディーが頭に流れる人も多いのではないでしょうか。
元旦の「かくし芸大会」という番組で流れていた曲です。2010年の元旦を最後に放送を終了したそうですね。

実は私,この「ためし」を「試し」だと思っていました。「年の初めに(自分の芸を)試して…」という意味だと思っていたのですが,ちょっと調べてみると全然違うことがわかりました。
この「ためし」は「例」だというのです(「宝くじなんて当たったためしがない」と同じ「ためし」です)。「例」は先例や前例のことを指すので,「年の初めのためしとて」は「年の初めの先例として」という意味になります。今風に言うと「年始ってのは昔から同じような感じでさ…」というところでしょうか。

学校で「年の初めのためし」といえば「今年の目標」です。
さらに「学年の初めのためし」として「○年生の目標」,「後期の初めのためし」として「後期の目標」という具合に,そのつど新しい目標をたてるわけです。

これってちょっとヘンだと思いませんか? 

「○年生の目標」が,ある学年全体を通しての目標だとすれば,「後期の目標」はその学年の後半の目標になります。そのとき「○年生の目標」はどうなってしまうのでしょう。さらに1月になれば「今年の目標」です。「○年生の目標」や「後期の目標」の振り返りもまだなのに…。そうして「今年の目標」を立てて3か月もすれば進級して,そこでも「○年生の目標」をたてるのです。これでは目標のうえに目標が重なる一方で,振り返ろうにも「どの目標を振り返ったらいいの?」と混乱してしまいそうです。

でも,せっかく新年を迎えたのだから,やっぱり新しい気持ちで仕切りなおしたい。というわけで今回は「今年の目標」ではなく「新年の誓い」ということにして,4年生になった自分の姿を想像して「3月までにできるようになりたいこと」や「3月までつづけたいこと」を書くように言いました。3ヶ月という期間限定の目標にすることで,ちょっと難しそう…という目標にチャレンジしてみようという作戦です。
     宿題をわすれないようにする。
     全部の時間にかならず1回は手をあげる。
     漢字テストでいつも100点をとる。
千里の道も一歩から。
3ヶ月の道のりも一週間から。

予定表の≪今週の目標≫欄を空白にしておきました。子どもたちがそれぞれの3ヶ月後を目指して,それぞれの≪今週の目標≫を書き入れるためです。毎週金曜日,予定表を持ち帰ったら右上の≪今週の目標≫にもご注目ください。


★補足★


読み返してみると,「そんなに堅苦しく考えなくても…」と思わなくもないですが…。

「一年の始まりに『今年は○○な年にしたいなあ』と考える」ことが無駄だとは思いません。かと言って,営業ノルマさながらに「△△までに××を達成する」という目標をたてろと言うわけでもありません。

ただ,限られた時間を無駄に費やしたくないだけです。

新学習指導要領の実施以前から,授業時間の確保は喫緊の課題です。限られた授業時間を割いて「今年の目標」なるものを書かせるのであれば,それなりに意味のあるものにしたいと思うのです。

意図もなく,それこそ「年の初めのためしとて」今年の目標を書かせ続ければ,子どもたちは「なんだかわからないけど,こう書いておけば大人は満足なんでしょ」という”上手な”目標の書き方を覚えるだけじゃないの? 
そんなことのために,貴重な時間を費やすの?

新年早々,そんなヒネくれたことを考えていましたとさ。





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2 件のコメント:

  1. 同感です。
    学校は4月に大きな目標を決め、それを竹の節のように、学期ごとに反省して次の学期につなげていく、そのような目当ての建て方の方が、合っていますね。

    でも、「一年の計は元旦にあり」といいます。
    私は、正月の目当て決めは、各家庭で行ったらいいのになと、思っています。

    我が家では、元旦の朝ご飯が終わると、家族全員を私が集めます。そして、昨年の元旦にそれぞれが立てた「1年の計」を記した用紙を家族全員で、丸、三角、バツと評価し合います。
    その後、用紙を渡し、今年の「一年の計」をそれぞれに3つずつ書かせ、書き終わると互いに紹介し合います。そのご、それぞれ目につく場所に掲示させます。

    それが済むと、じゃあ、今年こそ丸がつくように頑張ろうね!!といいながら、それぞれに「お年玉」をあげます。

    こうすることで、家族の絆も出来るような気がするし、お父さん、お母さんの役割もハッキリするように思います。

    おかしな家庭ですね~

    返信削除
  2. totoroさん,コメントありがとうございます。

    ご家族でのお正月の目標決め,なんだか微笑ましいですね。
    昨年の元旦にたてた目標が,ちゃんと残ってることが凄いです。私なんて「一年の計は元旦にあり」なんて偉そうに言っておきながら,翌年には「あれ?去年はどんな目標をたてたかしら」などと言っている始末。

    教師業もですが,親業もまだまだです…。

    返信削除