2011年12月5日月曜日

何を発表するの?~学習発表会~

子どもたちにそう聞くと「○○を演奏するねん」とか「△△っていう劇やで」と答えます。でもそれって,「学習」発表会じゃなくて,「練習」発表会だと思うんです。
発表会のためにこつこつと練習したり,努力を重ねることを否定するわけではありません。でも,「学習発表会」って言うからには「学習したこと」を発表しようじゃないかと思って計画し,指導しています。

学習発表会の一週間前に,こんなおたよりを書きました。


★以下 平成23年11月25日学級だより「すきやき」より★


来週は学習発表会です。何週間か前から,子どもたちと一緒に取り組んできました。 今回,3年生は「みつけよう 大切なもの」というテーマで発表します。

「3年生になって学んだ『大切なもの』ってなあに?」

子どもたちに尋ねると,いちばんに返ってきた答えは「友だち」でした。「新しい友だちができた」「友だちといると楽しい」「けんかをしたけど仲直りできた」という子どもたちの言葉が印象的でした。

ところが次に返ってきた答えは「食べること」。
「3年生になって学んだ『大切なもの』が食べること??」と不安になったのですが,よくよく聞いてみると保健や給食(食育)の時間に学んだ「健康」に関わることでした。ほかにも「家族」や「いのち」など,3年生になって学んだ『大切なもの』がどんどん出てきました。

今回の発表は,そんな子どもたちの『大切なもの』が伝わるようにという思いで計画しました。子どもたちが話す言葉の中には,彼ら自身が考えたものもあります。子どもたちの表現する姿を通して,ひとりひとりの『大切なもの』を感じ取っていただけたら,と思います。

★★ 

本番前,多くの子は「緊張する」「ドキドキする」と言います。さらに「何に緊張するの?」と尋ねると「自分の言葉をちゃんと言えるか不安」とか「演奏を間違えないか心配」と言います。残念ながら,そう答える子どもたちにとっては「与えられた台詞や演奏を間違えずにこなすこと」が目標なのでしょう。そういう目標しかもたせられなかった教師の責任です。

もし「みつけよう 大切なもの」というテーマがお仕着せでなく,子どもたち自身のものとなっていれば,目標は「与えられた台詞や演奏を間違えずにこなすこと」ではなく「自分の見つけた『大切なもの』を伝えること」になるはずです。「何に緊張するの?」と尋ねれば「『わたしの大切なものは○○だ』と,うまく伝えられるか不安」と言うでしょう。

台詞や演奏がうまくできることよりも,相手に伝わるかどうかが大切だ。

子どもたちが「伝えよう」という気持ちをもてるかどうか。学習発表会は,私にとっても大きな試練です。


★補足★


私の勤務する地域の小学校では「学芸会」よりも「学習発表会」と呼ぶことの方が多いようです。「学芸」には学問そのものを指す意味もあるので,「学芸会」も「学習発表会」も本来的には大差ないと思うのですが,「芸」ではなく「学習してきたこと」を発表する場であるということを強調しているのでしょう(少なくとも私はそう理解しています)。

そんな名称の違いのせいか,私は「学習発表会」が「練習発表会」で終わってしまうのはもったいないと思っています。4月から学年として取り組んできたことや自分自身の足跡を振り返り,そこに成長や進歩を見出して発表する。そんな場にしてこその「学習発表会」だろう,と。
運動会を春に行う学校はあっても,学習発表会は必ずと言っていいほど秋に行われます。学級,学年としても少しずつ成熟し,4月から積み重ねてきたことが実を結ぶ時期だからではないでしょうか。

話が少し逸れました。
学習発表会前日,子どもたちに聞いてみました。

「間違えずに演奏できるか心配」
「言葉をうまく言えるか不安」

むむむ……まだまだ指導が未熟でした。




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1 件のコメント:

  1. 学習発表会を、辞書的に調べてみると
    学習=他の生徒と一緒に繰り返しながら(段階的に)基礎的知識を学ぶこと。
    です。
    田中先生のクラスは、常々真剣に学んでいるので、友達 健康 命など、すばらしい大切なものに気づいています。

    発表=自分の考え(研究の結論)や、調査の結果、また事態の推移・経過についての情報を、関係者全体を対象に、広く知らせること。
    です。
    つまり、学んだことを発表するためには、学びをまとめて結論を導いておかねばならないし、広く知らせるための手立てを講じておかねばなりません。

    そう考えると、子供たちの不安は、学習の内容に対してでなく、発表を成功させるための不安です。
    にこつこつと練習したり,努力を重ねることでしか乗り越えられないような気がします。

    いつも、前向きで、ひたむきで、正直で可愛い子供たちですね!!

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