2011年9月16日金曜日

だれのしごと?

平成23年6月24日の学級だより「すきやき」より

私の勤務する地域の小学校では,「人権教育」の一環で様々な指導を行っています。
そのうちのひとつが,「男女平等教育」です。オトナの私たちからすれば「何をいまさら…」なことかも知れませんが,私はけっこう大切なことじゃないかなと考えています。
この週はそんな「男女平等教育」についての授業をしました。3年生という発達段階を考え,今回は子どもたちにとって身近な「家事」における男女差について考える授業を組み立てました。


★以下 学級だより「すきやき」より★


「家の仕事(家事)って,だれの仕事?」

それぞれの家によって事情が違うので,「みんなの家ではどう?」と尋ねるのではなく,「世の中のおウチでは,お父さんかお母さんのどっちがしてると思う?」などと聞きました。炊事や洗濯,掃除はもちろん,「靴を揃える」「お布団を干す」「花に水をやる」「買い物に行く」なんて仕事も,全部お母さんの仕事。お父さんの仕事と言えば,「ペットの散歩」と「車を洗う」だけでした(笑)。

ひととおり割り振ってからさらに聞いてみます。

「なんか思うことがあったらどうぞ。」

「お母さんばっかり仕事が多くてかわいそう…」

「え,でもお父さんは外で仕事したはるやん。」

「ウチでは,お父さんもときどき料理します。」

「靴をそろえるのは,ひとりひとりが自分でやればいいと思います。」

「ウチでは,お父さんがお風呂とトイレ掃除の当番です。」

そんな話をしているので,もうひとつ聞いてみました。

「この中で,男がやらなあかん,とか,女がやらなあかん仕事ってある?」

すると「ひとつもない!」と即答でした。そこで少しイジワルな質問をしてみました。

「でも,テレビのCMでは,お皿洗いもお風呂洗いもトイレ掃除も,全部女の人がしてるよ?」

「うーん…」

その後,もう少し話し合ってから,振り返りカードを書きました。

     食器洗いはお母さんがやったらいいと思う。お父さんがやったら,慣れてないから手が滑りそう。
     レストランでは男の人も料理をしている。お父さんが作ったって変じゃないと思う。
     お父さんはお母さんよりも力もちだから,お父さんが買い物に行ったらいいと思う。
     料理はやっぱりお母さんがいいと思う。いつもやっているから。
     家の仕事は,ふつうはお母さんがするから,お母さんがした方がいいと思う。

興味深いと思いませんか。わずか8年の人生でしっかりと「家の仕事は女がするべきだ」「力仕事は男がするべきだ」と学んでいるのです。無理もないでしょう。子どもたちの周囲ではそれが「ふつう」なのですから。
しかし,自分にとっての「ふつう」は,本当に誰にとっても「ふつう」なのでしょうか。
世の中には,自分とは違う「ふつう」を信じて暮らしている人がいるかもしれない。
自分が思う「ふつう」を人に押し付けることで,誰かを傷つけてしまうかもしれない。
私は,そんなふうに感じられる大人になってほしいと思うのです。
今日の授業で,子どもたちの何かが急に変わるわけではありません。でも,いつか彼らの前に「力仕事がしたい女の人」や,「専業主夫になりたい男の人」が現れたときに,「えーーっ!女のくせに!」とか「うわーっ!男なのに!」というセリフを聞いて「え?何かおかしいの?それでもいいやん」と言える人になってほしいと,毎日ちょっとずつ種をまいているところです。


★補足★


今回改めて読み返してみると,オイオイとつっこみたくところがたくさんありますね。子どもたちの振り返りカードを読むと,本当はもっと偏っていた(「やっぱり料理や洗濯はお母さんがするのが普通だと思う」という感想が多数あり)のですが,この文面からはそれがほとんどわかりません。
実際,子どもたちは

「男(女)がやらなあかん仕事なんて決まってない」

と口では言いながらも,いざ自分の周りに目をやって振り返ってみると

「家の仕事はお母さんがやるのが普通だと思う」

と感じているのです。そこから,その「普通」は誰にとっても「普通」なのかな,ということを考えさせたかったのですが,授業もおたよりもトホホな結果に終わってしまいました。自戒の意味を込めて,そのまま載せることにします。



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