保護者の方と話していてよく耳にするのは,「先生,学校の勉強って昔と変わってますよね?」というもの。一口に学校の勉強と言っても,漢字や計算方法といった「学ぶ内容」から,その「学び方」「教え方」まで色々な意味があります。どんな意味で「学校の勉強」と言うのかによって「昔と違う」とも言えるし「昔と変わらない」とも言えると思うのですが,そのあたりのことを伝えたいと思って書いたおたよりです。
★以下 平成23年7月1日学級だより「すきやき」より★
先日,保護者の方と電話で話していた際に,ひょんなことからひき算の話になりました。「ひき算には2種類の計算法がある」という話ですが,話していてふと考えました。
世の中の人はどうやってひき算を考えているのだろう?
「何を言いますか,ひき算はひき算でしょう」と思われた方,もうしばらく我慢してお付き合いください。1年生にひき算を教えるとき,学校では2種類の計算方法を考えさせます。専門用語では「減加法」「減減法」なんて言い方をしますが,説明がややこしいので,14-8という具体的な計算を考えてみます。
※クリックで拡大します
減加法
減減法
いかがでしょう。宿題で困っている子に「ひき算はこうやってやったらいいんや」と教えようとして,「それ,学校で習ったんと違う!」なんて言われてしまった経験はありませんか? その原因は,もしかしたらこんなところにあるのかもしれません。
もちろん,どちらが正しいなどということはなく,じっくり考えればどちらも理解できる考え方です。しかし1年生にとってこの区別は難しく,自分にとって理解しやすい方法を「学校で習った方法」として身に付けていきます。子どもたちには「自分の慣れたやり方で計算したらいいよ」と話しますが,それは「自分のやり方だけが正しいんだよ」という意味ではありません。むしろ「自分とは違うやり方」を発見し,「どうやって計算しているんだろう」という疑問から,計算の仕方をさらに深く理解できるようになると考えています。大げさかも知れませんが,そういうことの積み重ねが「他人を理解する」ことにもつながるのではないでしょうか。
ここ数日,たし算やひき算の筆算を学習しています。これまでに習ったものよりもさらに桁数が増え,繰り上がりや繰り下がりが複雑になったことで,「うーん…わからん」と頭を悩ませる人もたくさんいました。宿題でも同じように困っていたのでしょう。「お母さんに教えてもらった!」と嬉しそうに話してくれる人もいます。
もし,家で子どもが「わからん!」と困っていたら,「学校のやり方と違ったらアカンし…」と遠慮せずに,ぜひご自身の考え方で教えてあげてほしいと思います。「そんなん,学校で習ったんと違う!」と言われたら,胸を張って「わたしゃこのやり方で○○年計算してるのよ」と言ってあげてください(笑)。
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