2011年9月12日月曜日

リコーダーとコンパスと

平成23年6月9日の学級だより「すきやき」より

ちょうどこの頃にコンパスの使い方を学習したこともあり,2週続けてコンパスの話題でした。
学級だよりに,子どもたちの学習の様子を載せる先生は多いかと思いますが,私はそこに「で,そんな子どもたちの様子を担任はどう見ているの?」という視点で書き加えるようにしています。学校の様子を伝えると同時に,「家の人にも少し助けてもらいたいなー」という下心(笑)が含まれています。


★以下 学級だより「すきやき」より★


音楽の時間には,毎週リコーダーの練習をしています。リコーダーの練習というと,「シの指づかいは…」「ラの指づかいは…」というように,運指の練習かと思われるかも知れませんが,実際には違います。練習が始まって一ヶ月がたちますが,子どもたちが出している音はいまだに「シ」だけです。誰一人「飽きた」ということもなく,「シ」だけで演奏を楽しんでいるのです。
一方,算数では,コンパスを使った学習が始まっています。コンパスを実際に使う直前まで,子どもたちは「早く使わせろ!」と言わんばかりの表情で待ちわびていました。ところがいざ使ってみると,まあ難しいこと。「半径を1mm単位で合わせること」「ツマミをもって回すこと」「中心に刺した針がずれないようにすること」。大人なら意識もしないこれだけのことが,3年生にとっては途方もなく難しいのです。使い始めて20分もしないうちに,「もう嫌や!」「コンパス嫌いや!」そんな声が聞こえてきました。

多くの3年生にとって,どちらも初めて使う道具であるのに,どうしてこんなにも反応が違うのでしょう。
その原因のひとつが「達成感」ではないかと思うのです。リコーダーの練習で使っているのは,「笛星人」という曲集ですが,「シ」だけで演奏できる曲が3曲もあります。それも,パッと聞いただけでは「シ」しか吹いていないとは思えないほど完成度の高い曲ばかりです。もちろんタンギングの練習も兼ねているのですが,演奏している子たちにすれば「ステキな曲を吹けるようになった」という達成感でいっぱいです。「シ」だけだろうが曲としての完成度が高ければ子どもたちは大満足です。
ところが,コンパスはそうはいきません。子どもたちは「コンパスを使えばキレイな円が簡単にかける」と思っています。しかし本当は「コンパスで円をかく」というのは,リコーダーで言えば「ドレミファソラシドの運指をマスターして曲を演奏する」ぐらいの「使いこなし度」なのでしょう。「シ」だけの練習を経て,「ラ」や「ソ」の吹き方をひとつずつマスターして初めて演奏できるような難曲です。そんな「一歩ずつの積み重ね」が,コンパスにはないのです。

コンパスとはそういうものだと言ってしまうのは簡単です。しかし,目の前で子どもたちが「またずれたー!」「先生,どうしたらうまく円がかけるの」と言うたびに,なんとかして楽しくコンパスを使いこなせるようにならんものかと思うのです。小さい頃,コンパスを使って夢中になった遊びがあったら,こっそり教えてください。


★補足★


「笛星人」は,私の周りには知らない先生はいないというぐらい有名なリコーダー練習曲集です。ものすごく少ない音(たとえば「シ」だけとか「ラ」だけとか)で,伴奏をつけると驚くほど完成度の高い曲ができてしまう魔法のような曲集です。作者の北村俊彦先生のお人柄もステキです。
http://www.fueseijin.com/



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