2011年11月22日火曜日

書きたいだけ書く

あなたは「作文を書きましょう」と聞いて,「よっしゃ書いたろ!」とやる気のモリモリ出てくる人ですか。
大人になっても文を書く機会は結構ありますが,どうにも気が進まない…という人も多いのではないでしょうか。
気の進まない理由のひとつが,「たくさん書かなくちゃいけない」というものだと思います。「原稿用紙4枚程度」とか「2000字前後」というアレです。子どもたちにはそんな「枠組み」を気にせずに,楽しく文を書けるようになってほしいと思い,こんな学級だよりを書きました。

なお,文中の「三行日記」については以下の記事をご覧ください。
★以下 平成23年11月4日学級だより「すきやき」より★


先週から三行日記が変わりました。
これまで「3分で3行書く」と言ってきたのですが,3行という「量」が,ひとりひとりの「書きたい量」や「書ける量」と合っていないな,と感じることが増えてきたのです。そこで,今まで使っていた三行日記の用紙(3行で一日分として枠で囲んであるもの)を一新しました。新しい用紙は,ルーズリーフのような横線が入っただけのシンプルなものです。新しい用紙を配った直後,子どもたちは「えーっ。こんなに書くの?」と驚いていましたが,新しい用紙の使い方と目的を伝えると納得したようでした。

・「見たもの」「聞いた音」「かいだ匂い」「味わった味」を書く。「で,どうしたのか」を書く。
・書きたいだけ書く。

ひとつめは三行日記を始めたときと同じです。「何を書いたらいいの」というときに思い出してね,と言いました。ふたつめの「書きたいだけ書く」が今回新しく付け加えたことです。

★★

先日,「ちいちゃんのかげおくり」を初めて読んだときに「感想文を書いてごらん」と言いました。これから学習を進めるための足掛かりになる感想文なので,素直な感想や疑問をそのまま書ければいいなと私は考えていました。
ところが子どもたちは「(原稿用紙)何枚書いたらいいですか」と聞くのです。「じゃあ○○を書こう」と考える前に「どれだけ書いたらOKなんだろう」と考えていたのです。

残念ながら,これこそが子どもたちの学習してきたことなのでしょう。振り返ってみれば私は「今日は読書感想文を書きます。2枚ぐらいは書いてほしいなあ」なんてことを,何度も口にしてきました。子どもたちは私のそんな言葉を聞くたびに,「今日は2枚書かないと許してもらえないんだな」と学習してきたのだと思います。

★★

新しい日記用紙を配って「書きたいだけ書くんだよ」と伝えると,子どもたちは「1行でもいいの?」と聞いてきました。私は「もちろん。書きたいことが1行で収まったらね」と答えました。1行でも2行でも,10行でも20行でもいいのです。書こうと考えていることを,読み手に伝えるのに必要なだけ書いたらいいのです。

書く「量」ではなく,「何を書くか」を考えて書けるようになってほしい。それを続けることで「自分の考えを書く」ことを楽しめるようになってほしい。そんな風に考えています。
きらりと光る日記は,これまでと同じように紹介していきます。ときどき「今日はどんなん書いたん?」と聞いてあげてくださいね。


★補足★


そんなわけで,「三行日記」は「三分日記」と姿を変えて,現在も取り組んでいます。実際には3分では書ききれずに,時間が終わった後に必死に書いている人もいます。「書きたいことを書く」ために,3分では足りないこともあるよね,ということでそれもOKにしています。

これで「書きたいことを書く」ための準備は整いました。あとは「書きたいこと」を見つけるための感度の良いアンテナと,「書きたいこと」を効果的に伝える書き方が揃えば……。

先は長そうです。




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2 件のコメント:

  1. 思いを伝えるためのスキル、書く事や言う事を頭の中で整理して表現するってのは、結構難しいですね。
    会社での問題提起・検証・改善なども、頭の中で整理しながら物事を進める能力にもつながると思います。

    私事ながら、野球をしていたもので、息子が野球に興味を示しておりまして、経験上ココしっかり!の技術的ポイントを噛み砕いてて伝えようとする時、理解しやすいように本質を伝えるってのっが非常に難しいです。

    よくよく考えると、私の頭の中も整理できていない事に気が付きましたw

    悩んでおります(笑

    楽しんで、打開したいと思います。

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  2. 楽太郎さん,コメントありがとうございます。
    レスが遅くなって申し訳ありません。

    「理解しやすいこと」を伝えようとしても,結局は小手先のことしか伝えられなかったり。
    「本質を伝えよう」と思って自分なりに整理してみても,本質は小さな経験の積み重ねだったり。

    「理解しやすいように伝える」ことと「本質を伝える」こと。それって,時々ものすごく矛盾することなのかも知れませんね。


    それでも「ものごとの本質(だと自分が思っていること)をいかに理解しやすく伝えるか」を考えるのは楽しいです。これだから教師はやめられないです(笑)。

    お互い楽しみましょう!

    返信削除